食事と漢方による不登校やひきこもりの治療
一般的に学校に行けない、不登校というと、どうしても心の問題ととらえがちですが、カウンセリングを受けたり心療内科を受診しても、なかなか回復が難しいです。一般的に学校に行けない、不登校というと、どうしても心の問題ととらえがちですが、カウンセリングを受けたり心療内科を受診しても、なかなか回復が難しいです。
大人ならともかく、まだまだ心も体も未発達で成長過程にある子供や若い人が安定剤をはじめとした強い薬を服用することは、私はあまりいいとは思いません。しかもそれが効いていて元気に学校に行けるようになるならいいですが、多くはそんなことはありません。
もちろん家庭内で何か問題があったり、はじめから学校に行きたくない! という場合は学校の、あるいは友達とのトラブルが主に考えられますが、学校に行きたいのに朝起きられない、あるいは様々な理由で、行きたいけど行けない場合は心よりも体に問題があることが大半です。
はじめは学校に行きたいけど行けない、という状態なのが時間がたつと当然行きにくくなり、そのうち行きたくない、となったり、自分の家や部屋からも出たくない、誰にも会いたくない、というひきこもり状態に変わっていくことやうつ病になってしまうことがあります。なるべく早く解決なさる方がいいでしょう。
学校でひどいいじめがあるなど、原因がはっきりしている場合はまだ対処しやすいのですが、これといった原因が見つからない場合は、ご本人、ご両親ともに途方にくれてしまいます。多くの場合原因は心よりも体にあり、体の調子が悪くなった結果、どうしても起きにくくなったり、精神状態が不安定になったりするのです。
精神状態が不安定になると些細なことが気になったり、友達との関係がうまくいかなくなることもあります。ですからいじめの問題も、もちろん本来の原因がいじめの場合もあるでしょうが、体の問題が先なこともあると思います。
起立性低血圧や起立性調節障害が、朝起きられなかったり不登校やひきこもりの原因のこともあります。血圧を調節するのは自律神経ですが、思春期は自律神経が不安定ですので、血圧も不安定になります。
寝ているときの血圧に比べて立ったときの血圧が20㎎以上 下がってしまうものを起立性低血圧や起立性調節障害といいますが、寝ているときの血圧がすでに低い、いわゆる本来の低血圧(本態性低血圧)のこともあります。寝て測った血圧が110以下なら、血圧が低めと言ってもいいでしょう。
寝ているときは平面ですので、血液は頭の先から足の先まで均等に流れやすくなっています。ところが立ち上がったり座ったりすると重力の関係で、血液は下半身に滞りやすくなります。それを上半身に引き上げるのが心臓のポンプ力であり血圧なのです。
立ったときの血圧が寝ているときに比べて大きく下がってしまったり、もともとの血圧が低いと、上半身にうまく血が巡ってこないことになるため、肩がこる、目が疲れる、耳鳴りがする、めまいがする、ふらつく、頭が重い、頭が痛いなど上半身の症状がおきやすくなります。
しかも この症状は朝起きてすぐや午前中に出やすいです。というのはいくら血圧が低くても、動いているうちに循環してきて症状がましになってきたり、夕方になると元気になってきたりするからです。
お風呂に入ったあとも循環がよくなるので、元気になる場合もあります。 朝からお風呂に入るのもいいでしょう。
温灸は簡単にいつでも出来るので、是非お使いください。 体がしっかり温まり、血流が良くなります。
朝あれほど起きられないのに、夕方になると元気になって、なんてお子さんを責めないであげてください。多くの場合それはご本人の責任ではなく、体の問題なのですから。
また上半身に限らず体の隅々にも血液はやはり巡りにくくなりますので、疲れやすい、冷える、胃腸が弱い、むくみやすい、お腹が痛くなる、といった全身症状も出やすいです。
病院では起立性低血圧の治療にリズミックやメトリジンなど血圧を上げる薬が処方されることもありますが、なかなかこれだけでは症状が好転しないこともあります。
やはり体が根本的に変わっているわけではないからでしょう。お勧めの漢方は病院の薬とも併用できますので、一緒にお使いになっても構いません。
不登校や朝起きられない人は、このように血圧が低いことが多いですが、アレルギー体質の人も多く見られます。
鼻水が出る、鼻がつまる、咳が出る、皮膚がかゆい、など一般的なアレルギー症状ももちろんありますが、下痢しやすい、胃やお腹が痛くなる、目が腫れる、唇が腫れる、などもアレルギーと関係します。
アレルギーの多くは様々な粘膜で過敏症状をおこすため、鼻、のど、皮膚、気管支、胃、腸で症状が出やすいのです。
しょっちゅう頭が痛くなるという人も多いですが、これは脳血流が悪いためですし、脳の働きが悪くなるために睡眠障害や集中できない、物が覚えにくい、イライラするといった症状も出やすく、ひどくなると暴言を吐いたり、暴れたりします。チック症状が出る人もあります。
でも体の中が変わっていくとまるで性格も変わったようになり、集中できるようになって、成績が上がったという人も少なくありません。子供さん自身が「以前より勉強が頭にはいるようになった」とお母様に話した例もあります。
心よりも体や脳を元気にしていくことがとても大切です。
過敏性腸症候群という病気がありますが、多くが低血圧で、それに加えて自律神経が不安定でアレルギーを持っている人が多いため、不登校になる人と似ているように思われます。最近ふえている慢性疲労症候群や線維筋痛症なども私には近いように感じます。
食事も不登校や朝起きられない原因のひとつです。
血流が悪い低血圧の人も、食事は体調に大きな影響を与えます。
不登校や引きこもりの人達に聞いてみると、アイス、チョコ、ジュースなどの甘いものやスナック菓子、インスタント食品、ラーメンや唐揚げ、ハンバーグなど油や添加物の多いものが大好きです。
これらはカロリーばかり高くて、ミネラルやビタミンを殆ど含まないだけではなく、体内で分解される過程でミネラルやビタミンを大量に消費するため、結果として体がミネラルとビタミン不足となり、そのうち体や脳の働きが次第におかしくなり、自律神経や免疫が不安定になっていきます。そして体に余分なもの、つまり毒素もたまります。毒素をためて免疫が不安定になることがアレルギーの原因です。
ビタミンやミネラル不足が続き体が弱ってくると、すぐにエネルギーとなる砂糖や油を体が欲するようになるのか、やたら食べたくなり、食べれば食べるほどさらにおかしくなるという悪循環に陥ります。不思議なことに体が回復してくると、どうしてあんなに甘い物が欲しかったのかな? どうしてポテトチップス1袋全部食べることができたのかな? と本人が思うぐらい嗜好も大きく変わっていきます。
甘いものを食べると血糖値がはね上がりますが、それを下げるためにインシュリンが分泌されるため、今度は急に血糖値が下がります。そんなことをくり返していると低血糖をおこしやすくなり、そのために余計に甘いものが欲しくなります。この悪循環は糖尿病につながるだけでなく、さらに体と脳をおかしくしていきます。
もうひとつよく見られるのは、不登校や朝起きられない人は胃腸がもともと強くないということです。甘い物、油っこい物、スナック菓子をたくさん食べると胃腸に負担をかけ、アレルギーや朝起きにくい原因になりますが、それほど食べていない人でも、もともと胃腸が弱い人はやはり朝も起きにくくアレルギーにもなりやすいです。
家族で同じものを食べているのに、なる人とならない人がいるのは胃腸の強さの違いもあるでしょう。
結局不登校や朝起きられない症状を解決するには
- 食べるものや飲むものに気をつける。
医食同源といいますが、どんな病気もまずは口に入れるものが基本です。いくら体を良くしようと思っても、口から体を悪くする物がどんどん入ってきては治りません。 - 脳血流を良くながら、脳に栄養を与える。
- 胃腸を強くし、免疫のバランスを整える。
- 低血圧を改善する。
- ミネラルバランスを整える。
下の4つは漢方薬をお勧めしますが、食べたり飲んだりするものはご自分で気をつけていただかなくてはいけません。ガチガチになさる必要はないと思いますが、私はマクロビオティックの食事療法をお勧めします。
結局私達日本人にあっているのは、昔からの伝統食であるご飯とお味噌汁中心の和食です。しかも精製されていない穀物、つまり玄米を中心に食べることです。パンやパスタではなく、ご飯をしっかりと食べましょう。玄米がどうしても食べにくければ分づき米になさってください。それも無理なら白米でも構いません。
玄米は精製されていないので、ミネラルやビタミンが豊富です。そのうえ食物繊維も豊富に含まれているため、排泄や排毒も進みます。すずらん薬局で取り扱っている山形のこだわり玄米は若い玄米ですが、減農薬で白米と一緒に炊くこともでき、とても美味しく手軽に召し上がれます。
普段お飲みになるお茶は無双番茶をお勧めしています。有機栽培品であり、ビタミンやミネラルを豊富に含みます。玄心スープをお茶代わりに召し上がるのもいいですし、がぶがぶ飲むものではないですが梅干番茶もいいです。
また塩、味噌、しょうゆなどの調味料はできるだけいい物をお使い下さい。海水から昔ながらの製法で作られた塩は、ミネラルバランスが私達の体液と同じなのでミネラルを補うのに適しています。
ミネラルはビタミンに比べて吸収しにくいので日頃から補う必要がありますが、バランスがとても大切ですので、一部のミネラルだけを極端にたくさんとることはバランスを崩してかえってマイナスになります。海水から作られた塩の海の精やキパワーソルトをお勧めします。
昔ながらの製法で、塩をはじめとしていい材料から作られた味噌や醤油などの発酵食品は、植物性でありながら乳酸菌やミネラルもバランスよく豊富に含みます。納豆やぬか漬けもいいでしょう。これらの発酵食品は、日本人にはヨーグルトよりもずっと体に合っています。
どうもご飯が食べにくい、という場合やおやつに、玄米クリームや不老仙、UP-10クッキーなどもお役立てください。どれも玄米が中心です。
朝起きられない、あるいは不登校や引きこもりでお困りの方に、漢方を中心としたお勧めの方法をご紹介します。病院の薬とも併用できるので安心です。
できれば舌の苔を取ったりせず、1時間以上何も食べたり飲んだりしていない状態で大きく出した舌の写真をメールに添付してお送り下さい。
漢方で舌診は大事な診断方法の一つで体の中の状態を判断するのにとても参考になります。