非結核性抗酸菌症の症状と治し方
目次
執筆者紹介
松井 啓子(まつい けいこ)
薬剤師
京都薬科大学卒業
(株)すずらん薬局 代表取締役 創業24年で累計12万人以上の健康相談実績。
(株)OTCカウンセラーの会 代表取締役兼務(健康食品・漢方薬卸)
「低血糖・血糖値スパイク研究会」 理事
【執筆履歴】健康福祉新聞「いきいきライフ」、雑誌「健康プラス」など
【講師経歴】JEUGIAカルチャーセンター「漢方講座」、薬局・薬店向けセミナー講師など
どんな人が非結核性抗酸菌にかかりやすいのか
非結核性抗酸菌症は、特に免疫力が低下している人がかかりやすい病気です。たとえば、年を重ねることで体力が落ちてきた方や、糖尿病などの持病を持っている方が該当します。また、結核や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、以前に肺の病気をしたことがある方も注意が必要です。肺が弱くなっていると、菌が入りやすくなるからです。
最近では、特に肺に病気がない健康な方でも感染が見られるようになっています。長年の喫煙や、ストレス、栄養不足などで体の防御力が少しずつ低下していることが関係していると考えられます。特に、痩せ型で疲れやすい方や、高齢の女性に多いと言われています。なぜ、女性に多いかはわかっていません。
非結核性抗酸菌症の症状
非結核性抗酸菌症の症状はさまざまですが、代表的なものとしては、
・長引く咳や痰
・血が混じる痰
・だるさ
・体重の減少
などがあります。病気が進行するにつれて症状が強くなります。
初めのうち全く症状がなく、健康診断などで発見される場合もあります。
日常生活・生活上の注意
日常生活で大切なのは、自分の体力をしっかりと維持することです。そのためには、バランスの取れた食事をきちんと摂ることが非常に重要です。体力が落ちると抵抗力も低下し、病気が進行しやすくなります。特に、肉・魚・卵などの動物性タンパク質をしっかり摂ること、十分な睡眠をとることが、健康を保つための基本です。
そして、たとえ症状がなくても、医師の指示どおり定期的に病院で診察を受けることが大切です。病気の進行を早めに見つけて対処するために、医師の指導を受けながら健康管理を続けましょう。
非結核性抗酸菌症の治療法
非結核性抗酸菌症の治療には、いくつかの異なる種類の抗生物質を組み合わせて使用します。
主に使われるのはマクロライド系と呼ばれる抗生物質です。クラリスロマイシンやアジスロマイシンなどがあります。これらの薬は、非結核性抗酸菌症だけでなく、他の感染症でもよく使われる抗生物質です。
さらに、エタンブトールやリファンピシンといった薬も使われますが、これらはもともと結核の治療に使われていた薬です。
非結核性抗酸菌症の中でもアブセッサス菌による感染は、治療が少し難しいとされています。このため、治療には通常より強い薬を使うことが多いです。まず、入院して点滴で2種類の薬を投与し、さらに飲み薬を組み合わせて治療を進めます。使われる薬は、アミカシンやイミペネムなどの点滴薬と、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの飲み薬です。
非結核性抗酸菌症の治療薬の副作用
治療に使われる薬には、副作用が出ることがあります。
エタンブトールは視力に影響を与えることがあり、物が見えにくくなったりすることがあります。そのため、見え方に少しでも異常を感じたら、すぐに医師に相談してください。
リファンピシンは肝臓に負担をかけることがありますので、定期的に血液検査を受けて、肝臓の状態を確認することが大切です。
尿や汗がオレンジ色になることがありますが、これは薬の正常な作用なので心配いりません。
アミカシンなどのアミノグリコシド系の抗生物質は、耳に影響を与えることがあり、耳鳴りや聞こえにくさが生じる場合があります。
異変を感じたら、必ず早めに医師に相談するようにしてください。
【新しい薬】
リポソーム化アミカシン(アリケイス®)について
アリケイス®は、2021年に登場した新しい薬です。通常は点滴で使うアミカシンという抗生物質を、専用の吸入器を使って肺に吸い込む吸入薬にしたものです。
体全体への負担が少なく、副作用も軽くなることが期待されています。
吸入することで、声がかすれることがありますが、これは一時的なもので心配いりません。治療の際には、吸入のやり方をしっかり教えてもらうために、2~3日入院して習います。
非結核性抗酸菌症は伝染る?
非結核性抗酸菌症は、人から人へはうつりません。家族や周りの方にうつること心配する必要はありません。
非結核性抗酸菌症はなおる?
非結核性抗酸菌症の治療は時間がかかりますが、薬をしっかり続けることで、症状を改善させることができます。ただし、この病気は完全に治るとは言えません。しかし、工夫次第で病気の進行を抑えることはできますから、あまり心配しすぎる必要はありません。大切なのは、定期的に検査を受け、治療を続けることです。
すずらん薬局での取り組み
西洋医学では、非結核性抗酸菌症の治療として、主に菌を殺す薬を使います。しかし、現在の薬では、すべての菌を完全に退治することが難しいことがわかっています。特に、いくら薬を飲んでいても、体力が落ちて抵抗力が弱まると、病気が進行しやすくなります。
すずらん薬局では、漢方の考え方を取り入れ、抵抗力を高めることで、非結核性抗酸菌症の進行を防ぐお手伝いをしています。
また、長期間薬を飲み続けることで、体に負担がかかることもあります。特に食欲が落ちると、体力がさらに低下し、抵抗力が弱くなってしまいます。薬を飲む必要があるが、副作用で苦しんでいるという場合は、副作用を軽減することも重要な取り組みです。
すずらん薬局では、健康診断で病気が見つかったばかりでまったく症状がない方から、長く治療を続けているけれど咳や痰が治まらず苦しい思いをされている方、すっかり体力が落ちてしまった方まで、それぞれに合った方法でサポートしています。
また、薬の副作用が気になる方には、副作用を軽減する方法もご提案できます。
非結核性抗酸菌症は、完全に治すのが難しい病気ですが、それでもお元気に毎日を楽しく過ごしていただけるよう、私たちがお手伝いいたします。
ぜひ一度、お気軽にご相談ください。私たちと一緒に、安心して過ごせる日々を手に入れましょう。