喘息・咳喘息
長引く咳はとてもつらいものです。風邪をひくと、誰でも咳だけが1~2週間続くことがあります。
もしも2週間以上咳が続く場合は、一度医療機関を受診なさってください。もしかしたら風邪以外の病気が隠れているかもしれないからです。
すずらん薬局ではお子さんを含めて、長年悩んでいた喘息がとても良くなった患者さんがたくさんいらっしゃいます。是非一度ご相談ください。
喘息とは
一般的に喘息といえば、気管支喘息のことを指します。
気管支喘息の人は、空気の通り道である気道(気管支)の粘膜が慢性的な炎症を起こしています。
その結果、気道がいつもむくんだり、腫れあがったりして狭くなっています。何かのきっかけで、さらに気道が狭くなると、咳だけでなく喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューといった音がすること)や、発作性の呼吸困難が起こります。
咳や息苦しさなど喘息の発作は、特に深夜から明け方の就寝中に悪化しやすいです。
横になっているより座る姿勢の方が呼吸が楽になり、咳も治まりやすくなります。
喘息が重症化すると、歩行や階段の上り下りといった日常的な動作をきっかけに、咳や呼吸困難が起きることもあります。
喘息というと小児喘息が知られていますが、喘息患者さんの6割は大人です。
喘息の種類
喘息には、気管支喘息以外にもいろいろな種類があります。
アトピー型喘息
喘息のなかで、明らかにアレルギーと関係があると考えられるもの
非アトピー型喘息
アレルギーによるものかどうかはっきりわからないもの
運動誘発性喘息
運動することで発作が起こる喘息。運動によって空気をたくさん吸い込み、気道が刺激されるために起こります。
小児喘息
小児の気管支喘息。その9割が、アレルギーが原因と言われています。
アスピリン喘息
医薬品のアスピリンや、アスピリンと同じ作用のある薬によっておこる喘息発作のことを「アスピリン喘息」といいます。解熱剤や鎮痛剤、風邪薬、痛み止めの湿布や塗り薬などに入っている成分です。薬を使う場合は気をつけましょう。
咳喘息
風邪による炎症がきっかけで、空咳だけが長期間続くものです。気管支喘息と違って喘鳴や呼吸困難はなく、発熱や痰などの症状も出ません。
咳喘息も、もともとアレルギー体質の人に多いとされています。
夜中から明け方に激しい咳が出たり、寒暖の差や喫煙で咳が出やすくなるのが特徴です。のどにイガイガ感を伴うことや、長話をした際に、のどが渇いたり枯れたりすることもあります。咳の発作が激しい場合は、胸の痛みを感じることもあるでしょう。
咳喘息は、喘息の前段階とも言われています。咳喘息を治療せずに放置すると、炎症が悪化して、3~4割が喘息(気管支喘息)に進行すると言われています。
喘息の原因
喘息の根本的な原因は、肺そのものではなく、気道粘膜の慢性的な炎症です。
気道に慢性的な炎症があると、ちょっとした刺激や変化で粘膜が過敏に反応しさらに炎症を悪化させます。
そしてそれを繰り返していくうちに、さらに気道が過敏になるという悪循環を招きます。
気管支喘息は、アレルギーの一種です。アレルギー体質の人は、いわゆるアトピー素因(過敏反応を起こしやすい)を持っています。体の中で過敏反応を起こしやすい場所は、粘膜と皮膚です。皮膚が過敏に反応すればアトピー性皮膚炎に、気管や気管支が過敏に反応すると喘息に、鼻の粘膜が過敏に反応すると鼻炎になります。
そのためアレルギーマーチといって、アレルギーの症状がアトピー性皮膚炎から始まって年齢を重ねると共に喘息や、花粉症、アレルギー性鼻炎に変動していく事があります。
小児で約5割、大人で約6割の気管支喘息の患者さんが、アレルギー性鼻炎です。どちらも粘膜のトラブル(過敏反応)が原因です。
喘息の症状は、ほこりや花粉、黄砂、pm2.5、温度差、ペットの毛、寒暖差が大きい季節の変わり目や、台風などによる気圧の急変、エアコンなどの冷気、タバコや線香の煙、香水、風邪など、いろいろな変化や刺激に対して粘膜が過敏に反応し、出やすくなります。風邪をひくとどうしても気道(空気の通り道)が荒れるので、喘息発作も起こしやすくなります。
気道は呼吸する際の空気の通り道なので、外的な要因がとても大きくなります。
ただそうはいっても、私達は無菌室に住んでいるわけではありません。
ほこりやダニ、花粉が症状を引き起こす原因のひとつになっていたとしても、同じ環境で全く何も感じない人もいるわけです。ですから必要以上に外的要因に神経質になることなく、ご自分の体(体質)を変えていかれることをお勧めします。体が変われば、過敏体質も、つらい咳や発作も落ち着いてくる可能性が十分あります。実際そういう方は多数いらっしゃいます。病院の治療と併用できますので、是非お試しください。
喘息の治療
一般的な西洋医学の治療
喘息に限らず、病気の治療はガイドライン(診療指針 標準治療)というものが作られています。そしてこのガイドラインに沿って、病院では治療が行われます。
病院での喘息の治療は、根本治療というよりも炎症を起こさないようにする対症療法です。そして治療の目的は、治すというよりも、症状をコントロールすることにあります。
ガイドラインによる病院での喘息治療は、発作を止める薬と吸入ステロイドを毎日使うことで、長期にわたって発作が出ないようにコントロールする薬が中心です。吸入ステロイドには、フルタイドやキュバール、パルミコートやオルベスコ、アズマネックスなどがあります。
お子さんの場合、一番軽い場合は、吸入ステロイドを頓服的(その時だけ)に使用することになっています。ステロイドは炎症を鎮める働きがあります。それでもコントロールできない場合は、抗アレルギー剤や気管を広げる気管支拡張剤などを併用します。
最近はアドエアやシムビコートなど、気管支を広げる作用のある薬と吸入ステロイド薬が一緒になっている配合剤がよく用いられます。
一般的な漢方薬による治療
一般的な漢方薬による喘息治療でよく使われるのは、麻杏甘石湯や小青竜湯、麦門冬湯や柴朴湯です。
私の考え方
ステロイドで炎症を取ったり、気管支拡張剤で気道(気管支)を広げて空気が通りやすくすると、症状が楽になることは当然あるでしょう。まして喘息発作を起こした時は、発作時の治療は必須です。
ただしこれは、喘息の根本治療とは言えません。さらにステロイドや気管支拡張剤の長期使用は、副作用があります。
ご紹介しました一般的な漢方薬による治療も、やはり症状をとるものです。
喘息の根本的な原因は、気道の粘膜が過敏に反応してしまうことと気道の慢性的な炎症です。この二つを取り除かないと、本当の治療とは言えません。
私がお勧めしているのは、漢方を使って気道の粘膜を強くして過敏反応を起こしにくくすることと、それと同時に慢性的な炎症を鎮めていくことです。
強くなるのは気道の粘膜だけではありません。鼻の粘膜が強くなることで鼻炎が改善、口の中の粘膜がしっかりすることで口内炎ができにくくなり、そしてのどの粘膜が強くなることで、風邪をひきにくくなります。
お勧めしている漢方は病院の薬とも併用できますし、小さなお子さんや妊娠中の方もお使いになれます。喘息でお困りの方、是非一度ご相談ください。