健康プラス vol.3(2007年秋号)
2007年10月1日
そろそろ、ココロとカラダにいいこと、始めませんか すずらん便り
vol.3 潰瘍性大腸炎やクローン病 –薬剤師 松井啓子–
前回はアレルギーについて書きましたが、アレルギーと同様にこれから増えていきそうな病気の一つに過敏性腸症候群をはじめとした慢性の下痢があります。
なぜなら、どちらも根本的な原因は同じだと思うからです。
特に潰瘍性大腸炎やクローン病は難病に指定されていて、西洋医学で根治は難しいとされています。
ストレスと食生活が慢性の下痢を引き起こす
誰でも免疫力が下がると、弱いところに症状が出てきますので、慢性の下痢になる人はもともと胃腸が弱いということは言えるでしょう。
しかし、生活習慣からくる二つの大きな原因は見過ごせません。
一つは、毎日忙しい生活を送る中で徐々にたまっていくストレスです。
腸の動きは自律神経が調節しているので、私たちの意識で変えることはできません。
ストレスがかかってこの自律神経のバランスが崩れると、腸を規則正しく動かすことができず、動かなくて良い時に急に動いてガスが出たり、下痢をしたり、動くべき時に動かず便秘になったりします。
もう一つの大きな原因はやはり食事です。
欧米人に比べて私達日本人の腸は長いので、食物繊維を十分にとって便のかさを増やし、腸をしっかりと動かす必要があります。
そうしないと食べたものが長い間腸の中に停滞し、異常発酵して炎症を起こしやすくなるからです。
私達は昔からお米と野菜中心の和食を食べてきましたが、最近はあまりそれらを食べず、それどころか乳製品を含む動物性タンパク質や脂肪、そして糖分のとりすぎで、ますます胃腸に負担をかけるようになったのです。
ある女性は、腸の炎症を鎮める薬であるペンタサを毎日九錠服用しても、何年も潰瘍性大腸炎の下痢が止まらず苦しんでおられましたが、すずらん薬局に来られて漢方を服用しながら食生活と生活習慣を改善したところ、二十日間で下痢はほとんど止まりました。
そのおかげて唇の色も良くなって、とても元気になられ、朝もずっと起きやすくなったと仰っていました。
食事を変え、加えてストレスや腸に対する根本治療を行えば、さまざまな慢性の下痢は十分治ると思われます。
難病に指定されているからといって、治らないと思い込むのは大きな間違いです。