薬剤師を目指すまで
はじめまして。すずらん薬局 本店の代表薬剤師 松井啓子です。
私は11歳の時に、父を胃ガンでなくしています。
父は会社員で営業の仕事をしていましたが、殆ど毎日接待で帰宅は常に深夜でした。 油っこい食事や洋菓子が大好きで、当然ストレスもかかっていたでしょう。今思うとこういった生活が、まだ36歳という若さの父にガンを発症させてしまったのだと思います。
野球で鍛えた体は20代の体力と言われ、きつい治療にも耐えられました。そのため母は、「少しでも良い治療を」と探し求めたそうです。
東京の厚生年金病院、そして癌研付属病院に入院し、漢方の服用もしていました。3度の手術を行い、治験中の薬を含めて新しい抗ガン剤を次々と使いました。
今の私であれば、こうする代わりに様々な違う提案ができたと思います。でもその時は何もわからなかったのです。結局副作用が強く出るばかりで、どれも効果はありませんでした。
病院には反対されましたが、すでに覚悟を決めていた母は父を自宅に連れて帰りました。
そして発病から3年後、父は家族に見守られる中 不思議と痛みもなく自宅で静かに息をひきとりました。
その時父の闘病と死、そして看病する母の姿を見て「私は将来病を抱える人やそのご家族のために、何か役に立つ仕事がしたい」それと「人生はいつまで続くかわからない、毎日を悔いのないよう精一杯生きたい」と強く思うようになりました。
そして私は、ガンを治せるような薬を作る薬剤師になりたいと思ったのです。
すずらん薬局開局へ
でも薬剤師になった時には、自分がガンの薬を作るなんて無理なことも十分わかっていました。そして学校で学ぶ西洋医学に対して、限界のようなものを感じていました。
結局、薬剤師という仕事に対する興味はすっかりなくなってしまい、それよりももっと直接人と関われる仕事がしたいと考えるようになりました。
一時は医療とは全く無関係なことをしていましたが、結局大学を出てから4年後、薬局で働き始めました。
そんな時ある製薬メーカーの勉強会で、一人のドクターが北風とお日様の話にたとえて、瀉法と補法という治療法の違いについての話をなさいました。
『 西洋医学の治療は、いわば北風の治療(瀉法)であって、切る、たたく、抑えるというもの、それに比べて東洋医学の治療は体に負担をかけず、体を補うことによるお日様の治療(補法)である。 急性病や急性期には西洋医学の治療はとても効果的だが、慢性病や終末期、あるいはまだ病気が確立されていない未病という状態の時期は東洋医学が得意とするところであり、それ以上に心身医学も重要である 』というものでした。
結局 「西洋医学一辺倒にならず、その状態で効果的な治療法はどれも使っていきなさい」ということです。しかもその仕事は、薬局で十分行えるというのです。
そのドクターは心身医学の第一人者である池見酉次郎先生のお弟子さんで、全人的医療を提唱なさっている先生でした。勉強会では、先生の患者さん達に対する熱い思いや情熱がこちらにも痛いほど伝わってきました。
その時先生の話にすごく納得すると同時に「そうだ、私がやりたかったのはそういう仕事だった」と気が付きました。
私がすずらん薬局を開局する2年前、関西を中心に薬局薬店が集まってOTCカウンセラーの会という会を作りました。 現在も毎月様々な勉強を続けていますが、その先生が会の名前をつけて下さいました。
(OTC:Over The Counter:カウンター越しに、つまり薬局薬店です)
それ以降、西洋医学だけでなく東洋医学、心身医学、漢方や漢方薬、その他健康食品、そして生活養生や食養生、カウンセリング等の勉強を始めました。その当時私は大阪で薬局の管理薬剤師として勤務していましたが、次第に慢性病の相談がふえてきました。 でもお客様の数が多くて十分な時間がとれず、なかなか自分の納得がいくような仕事ができなくなり、結局退職し平成12年にすずらん薬局を開局しました。
1人でも多くのお客様に役立てるように
医療は日々進歩していて、健康や体の常識と思われていることもどんどん変わっています。そのため、今も勉強が欠かせません。そしてさまざまな分野の専門家の先生方から、引き続き多くの指導を受けています。
ご来店いただき、ご相談いただくお客様の多くは、 病院にも通っている(通っていた)が結果が思わしくなく、満足できていません。
医療機関では発症の原因を含めて、病気の説明も十分に受けておられないようです。なぜその症状が起こったのか(その原因)、 体の中で何が起こっているのかが、今でもわかっておられない方が多いです。
日常生活の中で、何か自分が気をつけられることのアドバイス(食事など)も医療機関では殆ど受けていません。
インターネットをはじめとして、情報は溢れていますが玉石混淆で、それに振り回されて苦しんでいる人も多く見られます。
そして、もしかしたら漢方なら何とかなるかも、と医療不信を抱えながら相談しようとしてくださいます。
本当の健康とはどういうことなのか、健康になるためにどうすればいいのか、溢れる情報や偉い先生達の言葉を鵜呑みにせず、ご自身で考え、 ご自分の体がいいと感じることを素直に信じ、実行し、続けてみましょう。
精一杯サポートいたします。一人でも多くの方のお役に立てればうれしいです。